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10月23日からさせていただける、『アニータ追悼展』 にあたって、その会場である
コミュニティカフェのニュースレターに、私の思いを書かせていただきました。
その文章をここに再録します。

+++

アニータ追悼展によせて

第二回目のティナラク織展を、コミカフェでさせていただける機会に恵まれ、
本当に嬉しく、現在現地の織手さんや縫製担当者さんを叱咤激励しながら、
小物製品製作に勤しんでいるところです (フィリピン出張中にこれを書いています)。

今回の展示会は、追悼展。
昨年9月に急逝した、大切な仲間だったアニータの仕事を見て欲しい、と思って、
企画しました。

アニータは、ティナラク織の名手で、あの細い身体からどうして、と不思議なくらい
力強い織物を仕上げてくる、一級の織手さんでした。
仕事も速く、色柄もモダンなものを次々仕上げてくる、センスも創造性も豊かな、
尊敬する織手さんのひとりでした。
ティボリ民族女性としては珍しいくらい、独立心ある、自分の力で生き抜いてきた人でした。

昨年9月の亡くなる直前に、彼女から織物を買ったとき、あまりにもたくさんの
織物を仕上げてきたので、冗談で
「ちょっとペースを落としてくれないと、今後全部は買いきれないよ~!」
と言ったら、
「全部買って! 天国に行く交通費が必要だから!!」
と彼女が言うので、
「天国に行くには、まだ若すぎるじゃん!」
と一緒に笑ったのでした。

享年51歳。
いろんな人と仕事をしてきた関係で、その年齢にしては珍しく、英語も話し、
社交的でユーモアセンスもある、魅力的な人でした。
私が買い上げた織物の代金を持って、隣村に繊維 (芭蕉糸) を買いに行き、
家にたどり着いたとたん、脳卒中 (または脳溢血) で倒れ、翌日病院で
目を覚ますことなく、亡くなってしまいました。

その後、ご家族から聞いた話では、
「十分、仕事はやり終えた」
ということを、何回か話していたらしい。
自分の死を知ってるかのような、言動が続いたとのことでした。

まさか、目の前で亡くなることになるなんて…。
病院へ駆けつけても、何も出来ない自分にいらだちながら、
彼女を見つめることしか出来なかった苦しい思い出は、今も私の心を大きく占めています。
これからも、冗談を言い合いながら長く長く、一緒に仕事が出来ると
思っていたところだったのに…。
彼女の織物の色や柄は人気が高く、ティナラク織が本当にいいものだと、
人に納得させる力のあるものでした。
毎回、私自身がわくわくしながら、彼女の織り上げるものを、楽しみに
待つひとりでした。

尊敬する織手のひとりとして、また、厳しい状況を生き抜いてきた先住民女性の
ひとりとして、アニータがこの世に残した仕事の一部を見ていただく機会です。
彼女の仕事の数々を、織物の展示を通して見つめ・思う時間を持ちたい、
アニータの仕事を触れて感じる場になれば、と思っています。
たくさんの方のご来場をお待ちしております。
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